この17〜8年は借家住まいで手狭なことこの上なく、10代の頃から親しんでいた大量の本やらレコードやらCDやらのほとんどは実家の戸棚にしまってある。棚に入りきれないものは段ボール箱に詰め込まれて床の上のあちこちに置かれている。
時々久しぶりに聴きたいCDがあると、何枚か借家の方に持ってきてしばらく聴いてはまた実家に戻す。そんなことの繰り返しなんだが、アナログ盤はそうはいかない。
なにせアナログのオーディオセットが大きすぎて借家には置けない上に、アンプが故障したままもう何年も修理をしていないため、
実家でも愛聴のレコードに針を降ろしていないのだ。
それでも以前は行きつけのバーに何十枚か置かせてもらって時折行っては自分のレコードをかけてもらったりもしていたんだが、最近はそんな奇特な店もレパートリーからなくなってしまった。
それが最近になって、「レコードを持ち寄ってかけながら飲みましょう」という、なんとも嬉しいお誘いがあり、それならば、と実家で選んだのが写真のレコード。20枚くらい選んだかな?
ジャンルはとにかく雑多。とりとめもないセレクトで楽しんだ。
アナログレコードを買っていたのはCD時代が到来して、アナログ盤がプレスされなくなっていった頃までだった。アンプがイカれたこともあって段々と聴かなくなっていった。
10代から20代中盤ごろまでがアナログ時代だから、だいたい中学の頃から会社に入って数年までの間だ。音楽を聴くこと、まだ聴いたことのない音楽に対していちばん敏感で貪欲だった時分のことだ。
久しぶりにあの頃夢中になっていた音楽を聞いていて、当時の感覚とか、記憶がよみがえった。
特に東京にいた大学生の頃は、世界中の音楽がどんどん入ってきていた頃だった。特に米英以外の音楽は圧倒的なパワーとみずみずしさを持って、20歳前後の若造の耳と感性を揺さぶった。今もあの頃に吸収した「なにか」が心と体の奥に蓄えられている。その感じを思い出した。
その頃の音が、これらのレコードにはぎっしりと詰まっている。